okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

きっかけ

たぶん、小学校の3年生ぐらいまで、私は本を読むことがない子どもだった。仲のよかったN君はドリトル先生の全巻を読んでいたりしたけれど、私はそれをどうとも思っていなかったし、すごいなとも思っていなかった。単純に、本を読むことに興味がなかった。 実…

答えのない質問

レナード・バーンスタインの「答えのない質問」。副題は「1973年ハーヴァード大学詩学講座」。高校生の頃に本の方を古本屋で買った。それなりの値段がしていたような気がする。少し背伸びをしながらわくわくして読んだ。 目次は、1.音楽的音韻論、2.音楽的統…

近所のブックオフで

近所のブックオフで、岩波ジュニア新書「詩のこころを読む」を100円で買った。茨木のり子著。 冒頭、「はじめに」として、茨木のり子はこう書いている。 いい詩には、ひとの心を解き放ってくれる力があります。いい詩はまt、生きとし生けるものへの、いとお…

いつもと違うことをする。

横浜のお寺で、写歌詞(歌詞を丁寧に書写すること)をする機会があった。写経ではなく写歌詞、始める前は正直「え~、写歌詞??」と思わないでもなかった。 「この中から選んでくださいね」と6つの歌詞を見せられた。歌謡曲の愛や恋の歌で、時代も自分の中…

判断までの時間距離

President Onlineのインタビュー記事 『厚切りジェイソン「年収2000万の勉強法」』が面白いなと思った。http://president.jp/articles/-/19946 面白いなと感じたのは、そこに「することを迷わない」工夫があるからだ。未来の自分に対して、どうなりたいとか…

心のエミュレータを起動せよ: ボブ・シュワルツ 『ダイエットしないで痩せる方法』

本書は、副題「痩せている人はなぜやせているのか?」が象徴するように、ダイエットという「行為」ではなく、痩せている人の「心の状態」に注目している。 しかし、それはダイエットに関する精神論ではない。もし読者が、これまで何度となくダイエットという…

希望の意味のヒント: 重松清 『きみの友だち』

「みんな言ってるよ」 そんなセリフはこの小説には出てこない。しかし「みんな」ということばの痛みや怖れを「きみ」である「私」があのときどう感じたのか、この小説はまざまざと思い出させてくれる。だからもしかすると「きみ」はこの小説の前半で読むのが…

大事なのは想像力です。: 重松清 『ゼツメツ少年』

「センセイ、僕たちを助けてください」。そんな手紙をセンセイがもらったところから小説は始まる。手紙はタケシという少年からのものだ。少年は「僕たちはゼツメツしてしまいます」という。そんなゼツメツしてしまうかもしれない2人の少年と1人の少女の小さ…

ロードマップとロジスティクス

SEMATECHという米国政府と民間半導体メーカーによる官民合同の次世代半導体の製造技術に関するコンソーシアムがあった。米国半導体産業の競争力回復に大きく貢献したと言われている。 私がAustinにあるSEMATECHを訪問したのは1993年の夏だ。研究所の役員が当…

スーパー・ワイドレンジ・キュレーター

プレジデント社の編集の中嶋さんから、株式会社侍の三宅さんの「為末大学ランニング部」に関する話を聞いてほしいとの連絡をいただく。 世間ではこれを『木に縁りて魚を求む』という。普通の人は私に「走るに関わる話」をしない。私は元来走ることが不得意で…

一人ひとりの「認知症」がある:佐藤雅彦、『認知症の私からあなたへ』

電話口で佐藤雅彦さんはこう言った。「本届いた? この本、普段あまり本を読まない人にも読んでほしいと思ってるんだよね。」 佐藤さんは51歳のときにアルツハイマー病型認知症と診断された。以来、認知症とともに暮らしている。本というのはその佐藤さんが…

バーチャルお遍路、四国路を歩く

春の日、愛媛県西予市にある四国八十八箇所霊場の第四十三番札所・明石寺(めいせきじ)を過ぎ、第四十四番札所・大寶寺(だいほうじ)に向けて歩いている。五月晴れの朝は清々しく、風もさわやかだ。日が高くなれば汗ばむような暑さになるかもしれない。大…

出会い

出会いにはタイミングがある。だから、出会っていると思っていても実は出会っていないものも人生にはきっと多くある。たとえば、こんな一節。 わたくしといふ現象は假定された有機交流電燈のひとつの青い照明です これらについて人や銀河や修羅や海膽は宇宙…

"CSI"(Creating Shared Issue:共有できる課題の創出もしくは探索)

私は2014年3月に発表された「CSRとCSVに関する原則」の趣旨に賛成する。そこではCSRとCSVとの関係を「CSRとCSVに関する原則」として明確に述べている。 1. CSRは企業のあらゆる事業活動において不可欠です。2. CSVはCSRの代替とはなりません。3. CSVはCSRを…

ラガードであること

自分の中にある多様性について考える。たとえば「新しもの好き」としての自分について。 確かに「ちょっと変わったこと」「新しいこと」が好きだ。『モテキ』の中で小宮山夏樹は「自分の思ってもいない方向に進む人生が好きだ」と言った。そういう気持ちに共…

40年後に思いを馳せる

ある日家に帰ると家族が「幸福の黄色いハンカチ」を観ていた。Wikipediaによれば「幸福の黄色いハンカチ」は1977年10月公開だから、いまからざっと40年前になる。主演の高倉健も共演の武田鉄矢も桃井かおりも若い。同時期に「ルパン三世」のテレビシリーズが…

孤高であること

1991年1月17日のC-SPANにショックを受けた。C-SPANではアメリカ合衆国議会の様子を終日流している。C-SPANはそんな政治を専門とするケーブルチャンネルだ。そして1991年1月17日はイラク空爆が始まった日だ。議場ではサンダースがひとりイラク空爆の非を訴え…

ダイエット日記 (2016年5月)

5月平均:2104 kcal(5月累計:65209 kcal) ((記録方法ルール「なんちゃって記録」 家庭で食べた場合の換算値:朝(500 kcal)昼(500 kcal)夜(800 kcal) 外食の換算値:1000 kcal 飲み会の換算値:2000 kcal その他:概算値 5月1日(月):1900 kcal朝、…

ダイエット・リゲイン、ダイエット・アゲイン

下記のグラフは2015年1月から2015年5月までの体重推移である。今から約1年前、体重は88 kgから順調に下降を続け、目標の62 kgのぼぼ中間地点、73 kgという折り返し地点に到達した。

アンドレアス・グルスキー展

2年ほど前、amanaimages incというフォトストックを販売する会社にお勤めのYさんと話をする機会があり、そのときにアマナが発行する写真雑誌「IMA」SUMMER 2013年5月号vol.4をいただいた。とても丁寧に作られた写真雑誌で、作家ごとに、つまり作品のタイプに…

季節のかざぐるま

こどもの国の職員の宮下健一さんの「季節のかざぐるま」が美しい。 写真は川崎市公園緑地協会主催の「花と緑の交流会」の分科会で、簡単な作り方の実例とともに教えてもらったときのもの。 「風車は風を感じるから走るのが楽しくなります。そして季節が感じ…

日刊工業新聞・社説 「認知症に向き合う」

2015年2月6日付けの日刊工業新聞の丁寧な社説には嬉しさを感じた。 日刊工業新聞は創刊90年の歴史を持つ日本を代表する産業経済紙だ。発行部数は40万部を越え、取り上げる分野も流通・サービス・運輸・科学技術・金融・教育・農業・行政・政治と幅広い。 そ…

ミニ捨離

片付けはダイエットに似ている。本当はきれいに片付いた状態に憧れていて、散らかった状態が好きというわけではなく、でも、上手くはできない。「別にこれでいいじゃん」と開き直ってしまう。 部屋や本棚や机が片付かないのは、知らないうちに太る努力をして…

シンプルに、伝えることに特化した書:櫻田潤、『ドラッカー・メソッド 自信をもって生きる方法』

ドラッカーが述べたことを、著者ならではの視点で整理し、ビジュアルに伝える「スライドブックシリーズ」の第一弾。 『ドラッカー著書を読むと、気になる言葉との出会いがたくさんあり、いつの間にか付箋やアンダーラインだらけになってしまいます。』と著者…

気持ちがゆっくりと明るくなっていく: 谷川俊太郎 『谷川俊太郎質問箱』

ほぼ日刊イトイ新聞上の連載「谷川俊太郎質問箱」から派生した本書は、寄せられた質問に著者が答えていく形式で書かれている。質問は全部で64個。ほぼ日で寄せられた読者からの質問に、本書では著者の友人からの質問も加えられている。 回答は、「おもわずは…

ひとつの知恵として: 加藤俊徳 『脳番地を鍛える―潜在能力を引き出すトレーニング』

脳の「部位」と「機能」を同時に表現する脳番地について説明している本書では、脳番地を鍛えることで潜在能力を引き出すトレーニングが可能だとしている。残念ながら、脳番地自体の説明も脳を鍛えることについての因果関係もその方法論も、私にはいまひとつ…

変曲点のスナップショット: 藻谷浩介/NHK広島取材班 『里山資本主義』

里山的な循環経済を原理とする考え方を、さまざまな事例を紹介しながら描き出している。本書で描かれている里山に象徴される循環的経済への転換は、20世紀的価値感からの決別に向けた動きとして多くの人々の共感を今後も得ていくだろう。時代は変曲点にあり…

京都の街を舞台とする青春冒険綺談: 森見登美彦 『有頂天家族』

京都の街を舞台にした冒険綺談。狸と天狗と人とが三つ巴となり、狸的であること、天狗的であること、人的であるこという観念自体を愉快なギミックとしながら、すべての価値観が面白可笑しいかどうかに集約される。変幻自在、天空闊歩、哀しみと屈折と愛情に…

コンテンツに関わる考察と再定義: 川上量生 『コンテンツの秘密』

コンテンツとは何かを記述するにあたり、適切な「問い」と「定義」を設定することは容易ではない。本書で著者は、ジブリと関わることで深めたコンテンツにまつわる「問い」と「定義」の再構築を行っている。 「問い」は大きく4つから構成される。1) コンテン…

生産的に書くことは誰にでも可能: ポール.J・シルヴィア 『できる研究者の論文生産術』

本書の副題は、どうすれば「たくさん」書けるのか。 本書は、研究者に限らず、書くことを日常的に仕事としている人すべてのための本だ。小説家や詩人になるための本ではない。あくまでも仕事として書くことを求められている人のための本だ。そして書くことが…