okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

"Whare are we now?"

ロードマップに関する研究をしているケンブリッジ大のPhaal博士は、にこやかに笑いながらこんな風に言った。

ロードマップはコミュニケーション・ツールです。行為としてのロードマップ、すなわちロードマッピングがもっとも大事なのです。そしてロードマッピングとは、結局、次の3つについて関係者の意識を共有することです。"Whare are we now?"、"Where do we want to go?"、そして"How do we get there?"の3つです。(超訳

単純なことだ。そして、単純なことは簡単ではない。不思議の国のアリスに登場するチェシャ猫は、アリスが道を尋ねたときにニヤニヤと笑いながら答えていたことを思い出す。

"Would you tell me, please, which way I ought to go from here?"
"That depends a good deal on where you want to get to," said the Cat.
"I don't much care where--" said Alice.
"Then it doesn't matter which way you go," said the Cat.
"--so long as I get SOMEWHERE," Alice added as an explanation.
"Oh, you're sure to do that," said the Cat,
"if you only walk long enough."
Lewis Carroll, ALICE'S ADVENTURES IN WONDERLAND)

なんて素敵なやり取りなんだ。そう、どこに行きたいかがわからなければ答えようがない。どこに行きたいかがわからなくても、ずっと歩き続ければどこかにつく。

では、"Whare are we now?"と"Where do we want to go?"では、どちらがより難しい問いか?

多くの人は後者だというかもしれない。しかし本当に難しいのは前者ではないのか?

安易に今どこにいると思っているとわかったつもりになっているだけではないのか? どこに行くとか、どうやって行くとかは、どこにいるかがわかっていればそんなに難しくはないのではないか?

私には正直「いまどこにいるか?」に正しく答えられる自信がない。

「新幹線で大阪に行くと言ったってさ、もしかして君は今、奄美大島にいるかもしれないよ? どこにいるかということをきちんとわかっているってそんなに簡単じゃないし、そういうことをきちんと考えることも大事なんじゃないのかなぁ?」

そんな風にチェシャ猫はニヤニヤと思っていたかもしれない。

"All right," said the Cat;
and this time it vanished quite slowly,
beginning with the end of the tail,
and ending with the grin,
which remained some time after the rest of it had gone.
Lewis Carroll, ALICE'S ADVENTURES IN WONDERLAND)

(2006年2月11日, mixi 改)