okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

常識の働きをコミュニケーション・プロセスとして捉える良書: 遠山雄志 『組織を変える常識』

「おかだ、少しはTPOってものも考えないとな」。すみません。常識が必要ってことですよね。で、常識って何?

『常識とは、"かなり共通の対人経験"を有する人々が客観的だと同意する事柄である。』(遠山雄志『組織を変える常識』)

 

わかりやすい! しかも「かなり共通の」の「かなり」って、定義としてはスピード違反だろう。『組織を変える常識』は造語力もすごい。

  •  想像が自らの環境をも創造する:『想造』
  •  個人の私的な会話を通して共有された理解:『互解』

時速140kmは間違いなく出ている。その他,組織の持つ『未練のハードル』『臆病のハードル』が、その組織をどんな組織なのかを特徴づけるとの記述も。『未練のハードル』『臆病のハードル』は、いままでの組織論にはないイメージだ。

極めつけは本書における組織の適応モデル・組織の類型分析。本書によれば『阿部一族』(森鴎外)は、おっちょこちょい組織とのこと。完璧にやられた。

組織論の本は多い。しかし,本書は、常識というものの働きをコミュニケーションのプロセスの一環として捉えている。良書だと思う。それになにより、言葉に満ちている。そして、言葉を勝手に作ってはいけないというのもまた常識だったのだなと思い知らされる。

(2006年4月6日,  mixi改)