読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

東山魁夷展

飯能と横瀬の境にある正丸峠からは、晴れた日には関東平野が一望できる。遠くには筑波山も見える。それを見に朝早く車で出かけたこともある。少し霞む関東平野は美しかった。遠くに巨人兵が眠る姿が見えたような気がした。

2008年の4月の終わり、北の丸公園の国立近代美術館に東山魁夷展を見に行った。私でも知っている『青響』。ブナの深い青の原生林を白い滝がどうどうと音を立てて流れ落ちている。水原秋桜子の"滝落ちて群青世界とどろけり"とはこういう滝をいうのだろうとずっと思っていた。

f:id:okadamkt:20160123114813j:plain 青響(1960)

しかし、実際には滝はないのだ。深いブナの森をみて画家は滝の音が聴こえるような気がしたのだという。ブナの樹形もよく見ると角ばっている。ブナに限らずこんな樹形の樹は存在しない。

「山を渡る風を表すには絵巻にするしかなかった」という『秋風行画巻1 2 3』といい、壁の質感がすばらしい『石の窓』といい、ああ、創意というのはこういうことなのだと思う。

f:id:okadamkt:20160123115012j:plain

f:id:okadamkt:20160123115029j:plain

f:id:okadamkt:20160123115039j:plain 秋風行画巻(1952)

『雲ニ題 海の雲』を何度も戻ってみる。雲間から差し込む微かな光、ジェコブス・ラダーが海をほのかに照らしている。波がしらの繊細さも美しい。

京都を描いたものの中では、艶やかな『照紅葉』もよいが、心がしんと静かになるような『月篁』がよかった。最後のコーナーの『山峡飛雪』もよいと思った。

f:id:okadamkt:20160123115421j:plain 月篁(1967)

(2008年5月3日, mixi改)

Ref:独立行政法人国立美術館 所蔵作品総合目録検索システム