okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

なんでもあってなんでもないものへの挑戦: 辛酸なめ子 『辛酸なめ子の現代社会学』

純愛、スローライフ、KY、ハンカチ王子、オーラなど、当時、世の中に流布していた現象が、著者独自の視点からエッセイと漫画で描かれている。

別に女子学院高校に対して言われなき偏見があるわけではないが、もちろんないわけでもない。「あ、こいつも女子学院か・・・」という場面に、なぜこんなにも遭遇するのか。きっとオーラに包まれた学校なのだろうと私は信じて疑わない。

本書で取り上げられているのは、雑誌記事として掲載された2004年から2009年にかけての世相・社会現象である。ああ、そういうこともあったなぁと、懐かさと共に過ぎ来し日々に思い巡らせるのもよし、著者独自のひねりとも穿ちとも違う空気感を味わうもよし。

そもそも「社会学」とはなんなのか? 

知人に尋ねたところ、「なんでもあってなんでもない」とのこと。理系にはさっぱり理解できない。

本書にはその「なんでもあってなんでもないもの」をいかに記述するかという挑戦がある。著者の世相を切り取る言葉の感覚は間違いなく一流である。