揺れ動く気持ちが丁寧に描かれている: ジャネット・あかね シャボット 『自ら死を選ぶ権利』
副題は「オランダ安楽死のすべて」。日本のテレビ局の安楽死取材をコーディネートしたことをきっかけに、取材に同席した著者がオランダにおける安楽死の議論をドキュメンタリータッチで伝えている。
本書がとても丁寧に書かれていることに好感が持てる。また、取材によって、自ら考えが右に左に揺れ動く様子など、著者の正直な記述と気質に共感する。
オランダの安楽死について、私が誤解して理解していたことも多々あった。尊厳・自立という言葉について改めて考え直させてくれ、気づきも与えてくれた。実り多い本だ。
オランダという国のユニークさについて書かれた比較文化論としても面白いし、安楽死について行われている議論の客観的な記述として読んでも面白い。