okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

心地よい驚き: 鈴木敏夫 『風に吹かれて』

渋谷陽一による、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫のインタビュアー。鈴木敏夫鈴木敏夫を取り巻く人々が生き生きと描かれている。

「インタビューという行為はどこか聞き手がそらぞらしい」という先入観を気持ちよく破壊してくれる。著者は鈴木敏夫となっているが、この本は明らかに聞き手・渋谷陽一によって生み出されたひとつの世界、作品といえる。

だから、本書は、『おじさんの自慢話をほど退屈なものはない』という定説をも覆す。自慢話上等、自分はこんなに気持ちよく自慢話を聞くことができるんだ、そんな心地よい驚きをもたらしてくれる。

世間では、傾聴が流行っている。しかし、つまらない話を傾聴するのは簡単ではない。まずは面白い話から傾聴しよう。本書は傾聴の練習にも最適な一冊である。