okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

いつもと違うことをする。

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横浜のお寺で、写歌詞(歌詞を丁寧に書写すること)をする機会があった。写経ではなく写歌詞、始める前は正直「え~、写歌詞??」と思わないでもなかった。

「この中から選んでくださいね」と6つの歌詞を見せられた。歌謡曲の愛や恋の歌で、時代も自分の中での歌謡曲の時代と微妙にずれている。だから、歌詞もどうも自分にはピンと来ない。

けれど、薄く印刷された歌詞をひとつ選んで、「しょうがないなぁ~」となぞり書きしているうちになんだか愉しくなってきた。ちょっと不思議な経験だった。

自分にとって、愉しくなってきた理由は、たぶんこんな感じ。

1. エクスキューズが心地よい

下書きがあるので、大人の塗り絵。集中する。創造性やクリエイティブなことばかり求められる時代だからこそ、「なにも考えなくていい」というなぞるだけの行為が、心に大きなエクスキューズを与えてくれる。

2. 心の中にこだまする

心の中で歌詞がゆっくりこだまする。自分で選んだ歌詞なので、「ピンとこない」といいつつ、それなりに好きな部分があるわけで、そこをゆっくり味わう感覚がある。以前、「生活の中で丁寧にしていることはありますか?」と問われて困ったことを思い出す。丁寧にしていることなんて、改めよく考えるとない。丁寧にするという領域が空っぽだったのだ。その空っぽの部分が満たされるような気がした。

3. コンプレックスが溶ける

自分には「字が下手だ」というコンプレックスがあるが、そこから解放される。所詮は大人の塗り絵。下書きの字が上手なだけなのに、なんだか自分が上手な字を書いているような錯覚に入れる。錯覚だろうが何だろうが、「あ~,字が下手だから,何かを書くの嫌だなぁ」という気持ちが逆転し、「なんかいい感じ」と思えてくる。

翌日、家に帰って、自分用の下書きを作ってみる.青空文庫から,ちょっと気取って歌詞ではなく詩を選んで、A3の紙に灰色で薄く印刷する。それを写歌詞でしたのと同じようになぞっていく。

愉しい! 写経の変形版と思うとちょっと不謹慎な言い方にはなるが、ある意味、紙代と自宅プリンターのインク代しかかからない"激安レクリエーション"の発見かもしれない。

いつもと違うことをする。お勧めだ。