トリプルボトムライン
トリプルボトムラインという言葉のことをよく考える。
トリプルボトムラインとは、企業の価値やパフォーマンスを、財務的側面だけから考えるのではなく、そこに積極的に環境的側面、社会的側面への評価を加えていこうという考えだ。1994年に英国のJohn Elkingtonが発明した。
John Elkington (business author) - Wikipedia
トリプルボトムラインという言葉の普及によって、企業は環境レポートやCSRレポートにも力をいれるようになった。評価の軸を新たに発明することには、そういう価値がある。
---
2012年にブリティッシュカウンシルと"Futures: Inspiring Social Innovation"(*1)という取組みを企画した。
その"Innovation Journey"の中で、トリプルボトムラインを提唱したJohn Elkingtonにもインタビューをしている。下記の動画の3分30秒あたりから。Johnがここで語っていることは、私のお気に入りのパートだ。
インタビューではJohnに"Futures"がテーマとした"Across Sectors, Across Borders”の価値について聞いた。 Johnはこう答えている。
【セクターを越えた協働】
ビッグデータなどの比較的新しいテクノロジーの登場やサステナビリティアジェンダの台頭で、多様な企業、活動家やセクターの集合体が作られ始めている。【システムチェンジ】
ひとつの企業、産業セクター、特定のサプライチェインが単独で解決することはできない。【社会エンジニアリング】
多様な企業・セクターの協働を可能にするためには、社会イノベーション、社会エンジニアリングが必要となり、ある意味それがチャレンジの一部分となっている。
---
DFJI(認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ)の活動の中で、"指標"を重要視するのには意味がある。トリプルボトムラインの文脈でいえば、認知症に関する議論は社会的側面への対応であり、それは環境の話よりも定量化が難しい分野だからだ。
定量化が難しい分野だからこそ、丁寧に、そして熱心に、指標について議論する必要がある。"どの領域に対して", "どのようなタイミングで", "誰が", "何を”, "どのように", "なぜ", といった5W1Hに相当することを新たに構築していく必要がある。
DFJIの指標のプロジェクトはそういう位置づけにある。ボトムアップ型の指標をどのように生成するのかという2015年からの活動も、2017年4月に京都で行われたADI2017(第32回国際アルツハイマー協会国際会議)で、様々な指標に関する取り組みを一同に示すワークショップを企画した意味もそこにある。
ADI2017ワークショップ:『認知症にやさしい地域』を評価する – 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ
このような活動を、セクターや国境を越えて継続していくことで、我々は知恵を寄せていくことができ、トリプルボトムラインの社会的側面もまた評価可能となっていくのだと私は思う。