okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

そこにあるリソースと選択の結果

旧オランダ国鉄を継承したというオランダ鉄道が、運行するすべての列車の動力源を風力発電で運用することに成功したという。列車を運行する電力を100%風力でまかなうのは世界初なのだそうだ。

 

デンマークも電力消費の3割近くは風力発電で賄うという。デンマークは1970年代のオイルショックを契機に、9割以上を輸入原油に頼っていたエネルギー自給率の改善に取り組み、1997年には自給率は100%に達成、2004年に到達した自給率のピーク165%からは下がってしまったとはいえ、2013年の段階で自給率93%だという。

cf. デンマークのエネルギーシステム

 

オランダの人口約1600万人(面積41,526km2、人口密度397人/km2)、九州の人口約1300万人(面積 36,782km2、人口密度307人/km2)。大雑把にいえば、オランダと九州は単純に人口と面積だけを考えればほぼ同じ規模だということになる。デンマークはオランダや九州に比べると人口は少なく約571万人(面積43,094km2、人口密度126人/km2)。こちらも大雑把にいえば、面積はオランダや九州とほぼ同じ規模で人口が1/3程度ということになる。

ということは、やろうと思えば九州でもオランダ鉄道と同じような試みは可能ではないのか。デンマークの事例もオイルショック時点での状況は日本とデンマークとでそれほどの差はなかったはずだ。日本全体は難しくても少なくとも九州でならば、その一部でも同様の取り組みが可能ではなかったのか。

もちろん、人口と面積だけで比較することが乱暴すぎることはわかっている。様々な前提条件も大きく異なるだろう。ただ、オイルショックは1970年代、それから少なくとも40年は経過したのだ。彼我の差はどこにあったのかと思う。オランダやデンマークも1970年代のオイルショックの頃にどこまでできると思っていたのかもわからないのだし、誰かを非難するつもりはない。ただ純粋に彼我の差の要因を分析的に考えることがあってもよいのではないかと思う。

これもまたあまりに乱暴な話だが、たとえば九州の阿蘇郡小国町岳の湯地区に行けば、地熱による蒸気が溢れている。そしてもちろん九州全体で風力や地熱がどの程度の規模で利用できるのかはきちんとは分からない。しかし、九州ならできるのではないかという何らかの可能性も感じるのだ。オランダやデンマークにはできたのだから。

そんなことを、冒頭のオランダ鉄道のニュースについて思った。

 

熊本県阿蘇郡小国町岳の湯地区

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cf. 地熱乾燥材 | 阿蘇小国杉のくらし | 小国町森林組合