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okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

同世代に生きる: 山田詠美 『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』

「家族」「健康」「友人」「趣味」「お金」「役割」。じゃんけんで負けるたびに紙に書かれたいずれかを破っていく喪失体験ゲーム。そしてその後に「本当の喪失は選べないのだ」と告げられる。

山田詠美、「明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち」。

食わず嫌いというわけでもなく読む機会を逃してきた同世代の作家。同世代の作家を読みたい時期になったのかもしれない。上の世代のものも下の世代のものではなく、同じ世代のものを。読めば行間に、好きとか嫌いとかを越えた心地よさを感じる。

長兄を失ったある家族の物語。残された弟と妹たちの一人称による語りは微妙なニュアンスの差を含み、人はそれぞれ同じようで異なるのだということを、新鮮に描き出している。陰影という言葉がよく似合う。

私は次女にもっとも共感する。

その投げやりな感覚は、全共闘世代よりも後の世代が持つ『遅れてきた者』特有の醒めた目と、前の世代の挫折を引き受けない覚悟とを共有している。「俺はあんたらが嫌いだよ。あんたらとは一緒にしないでほしいもんだ」という運命を共にせざるを得ない暗黙の憎しみと自立に根ざしている。

(2013年12月8日, mixi 改)