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okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

風景の記憶

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飯能と横瀬の境にある正丸峠から、晴れた日には関東平野が一望できる。遠くには筑波山が見える。ときどき、朝早くに車で出かけた。少し霞む関東平野は美しかった。遠くに巨人兵が眠る姿が見えたような気がした。

4月の終わりに、混む前にと思い、北の丸公園の国立近代美術館に東山魁夷展を見に行った。

私でも知っている『青響』。ブナの深い青の原生林を白い滝がどうどうと音を立てて流れ落ちている。水原秋桜子の"滝落ちて群青世界とどろけり"とはこういう滝をいうのだろうとずっと思っていた。

しかし解説によれば、画家が見た風景の中に滝はなかったという。深いブナの森をみて画家は滝の音が聴こえるような気がしたのだという。だからこの滝は幻の滝。

ブナの樹形はよく見ると角ばって描かれている。ブナに限らずこんな樹形の樹は存在しない。わざとそう描いているのだ。

「山を渡る風を表すには絵巻にするしかないと思った」『秋風行画巻』についてそう本人が説明している。時間と空間を同時に描く。ああ、創意というのはこういうことなのだと思う。 (秋風行画巻1秋風行画巻2秋風行画巻3

『雲ニ題 海の雲』は何度も戻ってみてしまう。雲間から差し込む微かな光、ジェイコブス・ラダーが海をほのかに照らしている。波がしらの繊細さも美しい。『石の窓』も 壁の質感も、最後のコーナーの『山峡飛雪』も素晴らしい。

京都を描いたものの中では、艶やかな『照紅葉』もよいが、心がしんと静かになるような『月篁』が好きだ。

(2008年5月3日, mixi 改)