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okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

変曲点のスナップショット: 藻谷浩介/NHK広島取材班 『里山資本主義』



里山的な循環経済を原理とする考え方を、さまざまな事例を紹介しながら描き出している。本書で描かれている里山に象徴される循環的経済への転換は、20世紀的価値感からの決別に向けた動きとして多くの人々の共感を今後も得ていくだろう。時代は変曲点にあり、本書はその途中経過としてのスナップショットである。

少し強い調子の文体も「期待とギャップへの痛み」に起因していると考えれば素直に受け入れらる。事例や一部のデータから敷衍される仮説で若干の飛躍と感じられる部分も同様だ。

仮説は多くの場合、事実をすべて記述することはできない。仮説は提示された段階ですべての事象を無矛盾に統合的に記述することはできない。本書に通奏低音として流れるいらだちもそこから生まれている。べき論的な強い口調もそこに要因がある。本書自体がまた、現代という時代が変曲点にあることを示す傍証のひとつなのだ。