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okadamktの日記

That's what we call a tactical retreat.

ロードマップとロジスティクス

SEMATECHという米国政府と民間半導体メーカーによる官民合同の次世代半導体の製造技術に関するコンソーシアムがあった。米国半導体産業の競争力回復に大きく貢献したと言われている。

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私がAustinにあるSEMATECHを訪問したのは1993年の夏だ。研究所の役員が当時SEMATECHの2期目の会長だったWilliam J. Spencer氏の古くからの友人でその訪問に同行したのだ。私にとってそれは様々な意味で印象的な訪問だった。

その中でも私にとって一番印象的だったのは、SEMATECHの概要を説明してくれた企画部のメンバーに「SEMATECHが一番大事にしていることは何か」と尋ねたときかもしれない。私は「官民合同の意義」などについての答えが戻って来るだろうと安易に思っていた。しかし戻ってきたのは「ロードマップに対するロジスティクス」という答えだった。もちろん半導体産業全体は当時から技術動向に関するロードマップを共有していた。しかし彼は「ロードマップを構成する要素をどう調達するかのロジスティックの設計がもっとも大事であり、SEMATECHが装置メーカーを含むコンソーシアムである意義もそこにある」と述べた。

私がロードマップやロジスティックという言葉を強く意識するようになったのはそのときからだ。説明をしてくれた企画部のメンバーが国防総省からの出向者だったことも印象的だった。それは私にとって、DoDDARPAなどの組織が持つ知の技法に対して関心を持つきっかけともなった。「失敗の本質」や「ドイツ参謀本部」を読んだのもこのときのことがきっかけだし、高校の頃に「菊と刀」を読んだときに感じた「なぜ彼らはこのような研究を行っていたのか」という疑問へのひとつの答えでもあった。

あらゆる意味でロードマップの設計で常にロジスティックスを意識しているのはこのときの強い印象が今も私の中にあるからなのだ。